LOGIN準備を済ませた二人、黒が基調の龍人族の着物のチェトレと暗殺者のジョブらしく、黒一色のローブに動き易いボディスーツの様な装備、口元もマスクで表情が見えないが、短めの金髪のタマユラが舞台の中央に立つ。鑑定に千里眼、ローブの内側には隠してある武器や暗器で一杯だ。さすが暗殺者のジョブだな。実際に人を殺してる訳じゃないだろうけど。そういう特性のジョブだ。 これは気を付けないと不意打ちを喰らう可能性が高いな。真っ向からやり合うタイプじゃない。俺としてはトリッキーな攻撃方法は使えるかも知れないから見てみたいが、チェトレがまともに闘えるかだ。真っ向から突撃しても確実に回避されて間合いを保たれるだろう。レベル的に掴まれたら龍帝拳の餌食だからな。そしてさっきの試合で無駄にアジーンが龍帝拳を見せびらかせてしまった。気を付けないと危ないだろうな、チェトレは。アジーン同様に泥試合をさせる訳にもいかない、ちょっとアンフェアかも知れないが、念話でサポートするくらいならいいだろう。『では第五戦、始め!!!』 マリーさんの開始の合図で一礼をした両者。チェトレはその場から動かないが、やはりタマユラは距離を取った。「これでこちらの五連勝にさせて貰うわ」「フッ、今迄の様にはいかんぞ」 距離を保ったまま舞台の上をチェトレを中心に回転する様に走り始めるタマユラ。ダッシュと縮地を組み合わせた歩法か、陽動だろうが中々の速度だな。「じゃあ、初代様直伝の戦術を見せてあげる」 両腕を組んで、仁王立ちの姿勢をするチェトレ。ほう、龍掌底波の構えか。あいつはアレを使えるのか? だがあの構えはかなり挑発にはなる。悪くはないな。「腕を組むとは……、舐めている様だな。喰らえ! 暗殺者武技・シャドウ・ナイヴズ!!!」 シュババババッ!!! 背後の死角から闇属性の魔力を込めた短剣やナイフの投擲か、だがチェトレは魔力鎧装に心眼、未来視、明鏡止水も全て発動させている。ちゃんと死角からの攻撃に備えていたな。 パパパパーァン!! ピシィ!! しっかりと方向も把握し、振り向きながら魔力の籠った掌底でナイフを叩き落とし、一番大きな短剣を人差し指と中指で白刃取りの様に止めた。うんうん、冷静だな。「チッ、全て防がれるとは……!」「お返
さて、インターバルも終わった。次は誰の出番かな?『えーでは次の対戦、第四試合は…リチェスターBランク、アジーン・バハムル選手とアレキサンドリア連合王国西の国スクラから、Sランクの上級格闘拳士のゴリゴリオ・キューティ選手の対戦です! 準備を済ませたら、舞台へ上がって下さい!』「よっしゃー! 兄貴、いってきます!」「おう、気合入れていってこいよーアジーン」 兄貴呼びはやめてくれねえ。しかし、引っ掛かるのが相手の名前のセンスだ。いや、見た目も筋骨隆々でムキムキマッスルの髭のオッサン。しかもピンクのフリフリなゴスロリドレスを着ているし、すね毛がボーボーでぶっちゃけ直視するのもビジュアル的にキツイ。黒くて長い髭も三つ編みだし、同色の髪の毛も三つ編みで長いツインテ―ルだ。しかもデカい、2m以上はある巨体だ。「なんか相手の名前変じゃね?」 ディードにそれとなく聞いてみる。「ああ、あの方は元々クラーチで冒険者をしていたのですが、修行の旅に出ると言って他国へ行ってしまったんですよ。今はこの国にいたんですね」 ああ…、そうか、そうだろうね……。「やっぱ名前からしてそんな気がしてた……」『アリアさん、何でもアジーン選手はあの次代の竜王候補と言われる程の逸材らしいですね? そして龍拳闘士と言うからには格闘技に魔法という龍人族ならではのスタイルなのでしょうか? そして相手のゴリゴリオ選手も似た様な格闘術で闘うということでいいんですかね?』『ハイハーイ! みなさんお待たー?! 解説のアリアお姉ちゃんですよー! そうですねー、マリーさんの言う通りですねー。龍人族は世界の秩序を守る観測者として長くそのスタイルを磨いてきました。ウチのアジーンとチェトレの二人が次代の竜王ですよー。でもまだまだ粗削りなところもありますね。そしてアジーンのレベルが1770に対して、ゴリマッスルさん? は1480ですかー。これは中々拮抗したバトルになりそうですねー。アジーンは稽古でも毎回剣士のエリックにマジウケするほどボコられてますからねー。まだまだこれからの伸びしろに期待ということですかねー?』 あのアホは味方なのか? しかも相手のことディスり過ぎだろ。「「「ゴーリゴリ!!! ゴーリゴリ!!!」」」 おおぅ、さすが地元だけあってゴリさんに声
イヴァと対戦相手のSランク、暗黒騎士のサウロンが一礼をしてから距離を取る。暗黒騎士ねー、まるでFF4の主人公の初期ジョブだな。フルフェイスのヘルムを被った長身。全身を黒づくめの鎧で覆っている。うーん、重そうだ。ウチの連中の装備はアリアが創ったかなり軽い服だからな。暑い季節や地方だとしんどそうにしか見えない。鑑定、レベル1180か、イヴァの半分くらいだな。あのダメージ肩代わりの魔道具はアリアが創ったものだし、普通にやり合っても問題ないだろうな。「Bランクであっても容赦はしない。それに剣聖の称号を持つ者と闘えるなど…。本気でいかせてもらうぞ!」 おお、結構まともな人っぽい発言だな。さてイヴァはどうするんだろうか?「じゃあ本気でいくのさ。リミット・ブレイク!!! ビースト・モード!!!」 ドゴオオオオッ!!! おおい……、いきなりぶちかますんかい!『おおっと、イヴァリース選手の髪の色が銀色に変わって闘気が全身から溢れ出しました! 解説のアリアさん、あれは一体何なのでしょうか?!』『あれは自己のリミッターを外し、防御耐性を下げる代わりに大幅に攻撃能力が増すという、ウチのニャンコちゃんの戦闘モードですねー。うーん、一撃で終わりそうですねー、これはー。あの黒づくめの厨二さんには悪いですけどー(笑)』 アリア、ニャンコ呼びは止めてやれよ。それに確かにそうだけど、相手を馬鹿にしすぎだろ……。「いくぞ、鳴けアロンダイト! 暗黒剣武技! ダーク・エアスラッシュ!」 ザシュシュッ!!! 右肩の上に両手で構えたアロンダイトを一瞬で3回振るった。黒い衝撃波がイヴァへと放たれる。「聖剣技・白龍天衝」 パパパァーン!!! ドゴオオオ――!!! イヴァが抜刀術の構えから放ったのは白く輝く龍の姿をした剣閃。それがサウロンの武技を軽々と、まるで虫を払うかの様に消し去り、そのままサウロンへと直撃した。「がはあああああッ!!!」 バキィイイイン!!! サウロンの黒い鎧が砕け散り、彼の『ダメージ肩代わり君』が粉々になった。あーあ、やっぱこうなったか……。しかもリミット・ブレイクにビースト・モードまで使いやがった。加減しろよな……。 ダアンッ!! そのまま仰向けに倒れたサウロン。兜も砕
アヤ達Bランク組と、俺とエリユズの対Sランク同士の興行試合の日になった。結局ギルドでわざと大暴れしたのと、アヤ達のレベルがSランク以上という問題もあり、Aランク相手との昇格試験は無意味だということになって、一気にSランク相手の昇格試験を兼ねた、前代未聞の、こちらもある意味興行試合となった。 昨日マリーさんがわざわざ城まで伝えに来てくれたのだ。何でもステファンがかなりイキって、他国のギルマス達を黙らせたらしい。あのときもかなり煽ってたしなあ。まあレベル差から考えてAランクとやるとデコピン一発で終わるし、神格持ちとでは勝負にすらならない。ずっと人外を相手にしてきたせいで、こういう普通の人族の基準に当てはめると規格外になるのは目に見えているんだけどね。これはこれで困ったもんだが、仕方ない。でもSランクになっとけばギルドの仕事は報酬が良いものを選びたい放題だし、人として暮らしている以上、お金はたくさん稼げるに越したことはないしね。 お祭りは昼過ぎからだが、城下は朝からかなり盛り上がっている。俺達は準備ができ次第お城の使いの人達が迎えに来てくれるらしいので、相変わらず俺の部屋が溜まり場になっている。適当に食事も済ませたし、まったりとみんなでお菓子をつまみながらお喋りタイムだ。そして何故か今朝からアリアを見かけない。何か変なことやってそうで不穏だ。嫌な予感しかしない。「なあ、アリアはどこ行ったんだ? あいつは放って置くと碌なことしかしないからな……」「うーん、今日は大事な用事があるって朝から出かけたみたいだよ。何かサプライズがあるとか言ってたけど。何なんだろうね?」 アヤは朝出会ったのか。サプライズね…嫌な予感しかない。「あいつはギルド登録してる訳じゃないからなあ。どこで何してようが構わんのだが、サプライズとか言ってる時点でもう何か変なことを企んでるとしか思えないよな……」「まあアリアさんだからねえー」「何かおもろいことやってるんじゃないのか?」 エリユズは慣れたもんだな。いいんだろうかこれで?「アリア様はいつもマイペースですよね」「良い意味で奔放ですよね、アリア様は」 ディードにアガシャ、そりゃまあいい加減慣れるよな……、一緒に生活してるんだし。それにティミスと比べたらマシに決まっているけどな。「アリア様って神様なのに面白いよねー。この前不思議な
さてさて、クラーチでの祝賀会も終わった。俺達は翌日、各国に設置してある転移門を使って、アレキサンドリア連合王国の南西から東北に伸びる三つの国、スクラ・グラード・エレシスと言う国家の中心都市、首都グラードへと移動した。うーん、便利だ。しかも結構デカいから大人数で一気に移動できる。 これはアレだな、ドラクエで言うところの旅の扉とか泉とかそういうやつだ。どういう原理なのかさっぱりわからん。でも絶対に神・アリアが干渉してる代物だろうな……。空間魔法の応用とかで創ったんだろう。俺達の拠点の中立都市にはないらしい。ある程度人口が多い大国にしかないんだとさ。まあリチェスターにあったら残念王やら義兄姉がしょっちゅう来るだろうしな……。俺らには転移魔法もあるし、別に問題はなくていい。その内設置されそうな気がするけどね。俺らがいるからさ……。 しかし結構大所帯になって来たもんだ。サーシャとルクスが戻ってきたら、エリユズはまた修行に駆り出されるだろうけど。今回は何と言うか、久しぶりに人として昇格試験や興行試合に参加するんだが、もう俺達のPTのレベルは人類のそれじゃない。興行試合で相手がSランクとはいえ、思いっきり手加減しないと簡単に殺してしまう。あっさり勝っても、世界中が注目するイベントらしいから盛り上げないといけないのかなあとか考えると、面倒臭くて頭が痛い。だからと言って神の流派を使うなんて以ての外だしな。相手が粉々になる。 祝宴のときのガノンみたいなのがエリユズと当たると、スプラッタになりそうで怖い。まあ他のSランクの人達はまともそうだったし、適度に盛り上げて武器破壊か峰打ちが無難だろうな。でも他のSランクの戦術を見てみたいのもある。今後の参考になる点があるかもだしね。 転移門を抜けて、アレキサンドリア連合王国、首都グラードの王城内に出る。クラーチ王国とはまた違って荘厳かつ豪華な造りだ。大会に試験は3日後。他国の王族も見に来るらしいし、後でギルドにも顔を出しておくか。期間中はこの王城に寝泊まりしていいらしいから、クラーチのお城で生活してたときみたいなもんだな。 適当に充てがって貰った豪華な個人部屋でベッドにゴロリ。このまま惰眠を貪りたいが、俺の部屋には間違いなくみんなが溜まり場の様に集まって来るんだよなあ。 ドンドンドン!!! ほらね……もう来たよ。気配からして
メキア奪還、魔王領の激闘から数日が経っていた。堕天神二体を斃し、魔王の討伐(殺してはない)にメキア・魔王城での死闘とある意味世界の危機を未然に救ったことにはなった。そういうことで約束通りクラーチ王国で祝宴が催されることになっている。今は俺達の休養も兼ねてリチェスターの屋敷でお気楽生活。怒涛の展開過ぎたから、頭が追い付いてないんだよなあ。 どうも他国の王族やらお偉いさん方も俺達の噂を聞いて、各国の王城へと設置された魔導具の転移門からやって来るらしい。また変なことに巻き込まれないといいけどなあ。ぶっちゃけ特異点の特性として、最早諦めてるけどね。しかしそんな便利なものがあるなら最初から使わせて貰いたいものだが、両国の同意がないと機能しない、使用できない仕様らしい。まあそりゃそうだ。各国に侵入した賊みたいな奴らが自由に使えたら世界は大混乱だしな。まあこういうのはアリアが上手い事関与してるんだろうが、この転移門システム、一瞬で大陸を超えて転移できるらしい。地球のコンコルドよりも速い。オーバーテクノロジーとは何ぞや? と考えるのも面倒くさくなってくる。それに便利なことに変わりはないし、気にしないでおこう。 今回も大変だったし、祝宴の準備迄の間は各々自由行動して英気を養っているところ。俺はアヤと一緒にリチェスター北部の港で魚釣りをお気楽にやっている。海は綺麗で澄んでいるし、地球で釣れるアジやらサバやらタイが釣れるし、得体の知らない巨大魚も釣れる。前世では良くガキの頃から親父と母さんとピクニックがてらに行ったし、懐かしさとともにリラックスもできて良い感じだ。超成長の御陰か、いつの間にか覚えた釣りスキルも勝手に上がっていく。釣りは技量だけで魚との駆け引きを楽しみたいんだけどな。何でもスキル化されるのはちょっと微妙だと思う。 次代の竜王の兄妹も助けられたことで特異点の数も2つ減少。勇者の意志に覚醒出来ないジャンヌは特異点ではないということで、トータルで3つの特異点がなくなった。世界への影響も少なくなるだろう。 ダカルーのば-ちゃんは竜王の里の復興があるため、PTを抜けた。「世話になったのう、後はこの二人をビシバシ鍛えてやってくれ。これで儂はお役御免じゃ。里に来るときは歓迎するぞい」 と、アジーンとチェトレをここに残して帰郷した。鍛錬のときに体術勝負で負けてるし、次に再会







